春の雨は優しく・・・

真夜中近く、0時少し前に会社を出た。
人気のない表参道の空気は妙に暖かかった。
灰色の雲から落ちてくる小さな雫・・・
冷たい冬の雨とは違う、どこか柔らかい雨。
しなやかな絹の糸の様だ。
冬から春へ、冬から春へ・・・
一雨毎に土が目覚め、新芽が鼓動を鳴らして行く。
待ち侘びる春への思い。
都会の真ん中の静かな雨の夜・・・
そんな浅い春を思い描きながら
夜更けの道を鼻歌雑じりで
ゆっくり歩きながら家路へ向かっていると・・・