火事と霰

徹夜明け→そのままお仕事
朝、一番最初に来たR子ちゃんの話に寄ると、私はコートを着たまま床に寝ていたのだとか・・・
まあ、そんなのも今のうちだけだろう。
そうして、1日を過ごし、たまには早く帰ろうと、
久々に22時台に会社を出て見ると、パラっと顔に当たるものが・・・
結晶した氷の小さな飛礫・・・霰である。
ふっと、掌に乗った瞬間、天からの氷結はすっと解けてしまい、みるみるうちに僅かばかりの水の塊に姿を変えてしまう。
ほんの一瞬の悪戯の様な、感じるか感じられないかのギリギリの冷たさを伝えてくれる・・・
冷たい北風の中、どこか表参道のイルミネーションもいつもよりぼんやり煙って見える。
〜ああ、霰と共に、霧も出ているのねェ・・・
雪煙とは違って、霰霞かしら・・・なんて幻想的なんだろう〜
と思ってふと立ち止まって照明が照らす煙った夜空を見ていると・・・

けたたましい消防車のサイレンが街に鳴り響き、会社のあるすぐ裏手の道に何台も入っていくではありませんか?
すっかり、現実に引き戻された私が、たまたま居合わせた会社の上司と駅の近くの植え込みから見上げると・・・
何と、紅蓮の炎を黒煙が・・・
その煙が夜空に流れて表参道の交差点一体の空に立ち込めていたのであります!
周辺騒然・・・

幸いにも、お留守のお宅で、あれだけ燃え盛っていたにも関わらず、延焼もなく、
怪我をされた方もいらっしゃらなかった様ですので、不幸中の幸いだったのかも知れません。

数時間後・・・
すっかり落ち着きを取り戻した街には・・・
先ほどの霰が風花となって舞っておりました。
乾いた空気の中で降るでもなく、散るでもなく、ただただ
”舞う”雪・・・
人の絶えた夜中の表参道の通りは、先ほどの騒ぎが嘘の様に
鎮まり返り、朝へと傾いで行くのでありました。