風花の舞う午後・・・

赤坂見附の駅を下りて地上に出るとはらはらと雪が風に舞っていた。
降るのではなく、風に運ばれて下りて来る様だ。

名残り雪の様に湿っぽい訳でなく、ただ乾いた冷たい風に身を任せて風に漂う雪の一片…まるで目覚めの時をより清らかなものにする為に、浅い眠りを揺り起こす様な僅か数分間の季節の逆転。
移ろい易い早春の情景。
冷たい風が止むと重く淀んだ空は次第に春の空に帰っていた。
春の緞帳が開く前のひっそりとした季節の足踏み。
ますます込み上げる春への期待感と冬への惜別の気持ちが交差していた束の間の時間であった。